家を解体する前に片付けること|工事の届出は施主が出す

解体は業者を決めると日程が先に動きます。工事の届出を出すのは施主のほうで、着手の7日前までと決まっています。家財を出す順番も、残す物を選ぶ余地も、その前に決まってしまいます。

解体の相談は、たいてい業者を決めるところから始まります。ところが業者が決まると日程が先に動きだして、家の中を見る時間が残らないことがあります。順番を逆にしておくだけで、後から悔やむことがずいぶん減ります。

工事の届出を出すのは、業者ではなく施主

ここは知らないままの方が多いところです。建設リサイクル法の第10条に、こうあります。対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、定められた事項を都道府県知事に届け出なければならない、と。

発注者とは、工事を注文する側です。つまり家を壊してもらう本人です。届け出る中身には、解体する建物の構造、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画、建物に用いられた建設資材の量の見込みが並びます。

実際には業者が書類を用意して代わりに出すことが多く、そのため施主の側は関わった覚えが残りません。ただ、義務の名宛人は施主です。届け出た内容が基準に合わないと知事が認めたときは、届出を受理した日から七日以内に限り、計画の変更などを命じることができるとも書かれています。

逆算する日数は「7日」ではない

7日という数字だけを見ると、直前まで動けるように思えます。ですが7日前に出すには、その前に工程が決まっていなければなりません。工程が決まるには見積もりが決まり、見積もりが決まるには現地を見てもらう必要があります。

そして現地を見る段階で、家の中に何が残っているかが金額に効いてきます。片付けは届出より前の話です。家財が入ったままの家を見てもらうと、その状態を前提にした見積もりが出ます。

家財を残したままにすると、扱いが変わる

家の中に残った家具や衣類を、解体業者がそのまま運べるとは限りません。壊した建物から出るものと、家の中にあったものは、廃棄物としての区分が別になります。

この区分の違いと、なぜ許可が別に必要になるのかは残置物は解体業者が運べないことがあるにまとめました。見積書の中で家財の処分がどう書かれているかを読む手順も、そちらに置いています。

片付けそのものを別の業者に頼む場合は、その相手に許可があるかを市町の名簿で確かめられます。

残す物は、壊す前にしか選べない

家財を運び出したあとの家には、まだ物が残っています。壁や鴨居に付いているもの、家の骨組みそのもの、それに庭です。

どれも、外す作業を見積もりに入れるかどうかで日数が変わります。当日に現場で頼めることではありません。「これは残す」と決めた一覧を、見積もりを頼む段階で渡すのがいちばん早いです。

補助金を使うなら、順番を逆にしない

解体費に補助が出る市町があります。ただし、どの市町でも交付決定より前に契約したり工事に手をつけたりすると対象から外れます。後から遡ることはできません。

4市町を並べた比較は空き家の解体費に出る補助は市町で2倍違うに、共通する落とし穴は補助金を使うなら、片付ける前に順番を確かめるにまとめてあります。家財の処分費に補助が出る市町もあり、そちらは1つ目の物を運び出した時点が着手にあたります。

つまり、補助を使う予定があるなら、片付けを始める前に窓口へ相談する順番になります。

別の道筋が決まっている物を先に抜く

家の中の物とは別に、建物に付いていて別扱いになる物があります。吹き付けや板に含まれていることがある繊維、庭や裏手にある水の設備、使わなくなった井戸。それぞれ手続きが決まっています。

まとめて解体の前に別扱いになる物で扱いました。家電やパソコンのように、法律で行き先が決まっている物も同じで、建物と一緒には出せません。

壊した後にも手続きが残る

更地になれば終わり、ではありません。建物が無くなったことを登記に反映させる手続きが残ります。期限があり、税の切り替わる日とも関わってきます。

詳しくは建物を壊したら1か月以内に登記にまとめました。売却を考えている場合は、取り壊しが条件に入っている税の特例もあるので、そちらもあわせて見ておいてください。

最初の一手

順番だけを並べると、こうなります。

  1. 誰の物かを確かめる。相続の話が済んでいないと、ここから先が進みません
  2. 補助を使うなら窓口へ相談する
  3. 家の中を見て、残す物の一覧を作る
  4. その一覧を渡して見積もりを頼む
  5. 家財を片付ける
  6. 届出、契約、工事
  7. 登記と税の手続き

1つ目でつまずく例がいちばん多いです。権利の話が先に来る理由は尾道の実家を相続したらに、実家の片付けそのものの進め方は実家・空き家の片付けガイドにまとめています。

解体は、決めた日から先はほとんど動かせません。動かせるのは、決める前の何週間かだけです。そこに片付けと選ぶ時間を残しておいてもらえたら、と思って書いています。

対象建設工事の届出については、建設リサイクル法第10条の条文を e-Gov 法令検索で2026年7月30日に確認しました。届出の様式や窓口は都道府県ごとに案内が分かれます。補助の条件は年度で変わるため、実際に申請する前に各市町へ確かめてください。