欄間と建具は解体の前に外す|壊せば木くず、残せば物

解体工事が始まると、欄間や建具はいちばん先に無くなります。壊せば木くずとして現場から出ていき、外せば物として残ります。分かれ目は解体の当日ではなく、見積もりを頼む前にあります。

解体の日取りが決まってから相談をいただくことがあります。家の中の物はもう運び出してあるのに、鴨居の上の欄間や、締め切ったままの格子戸はそのまま残っている。あれはどうするのかと聞かれて、私は間に合ってよかったと思います。重機が入った日には、もう選べません。

法律が求めているのは、分けて壊すことだけ

建物を解体するとき、木材を木材として、コンクリートをコンクリートとして分けて壊すことが義務になっています。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、いわゆる建設リサイクル法の第9条です。対象になる規模は政令で決まっていて、建築物の解体工事では、その部分の床面積の合計が80平方メートルとされています。

ここで気をつけたいのは、義務の中身が「分けて壊す」までだということです。欄間を欄間のまま外して次の家へ渡す、という話は法律のどこにも出てきません。木材として分けられていれば、それで基準は満たされます。

つまり、彫りの入った欄間も、組子の細かい障子も、分別のうえでは木くずです。壊せば木くず、外せば物。その分かれ目は解体の当日ではなく、見積もりを頼む前にあります。

欄間は種類で見方が変わる

欄間は、部屋と部屋の境の鴨居の上、あるいは廊下と部屋の間にはまっている板や格子のことです。家によって作りが違い、見るところも変わります。

  • 一枚の板に絵柄を彫り抜いたもの。松や鶴、波などが多い
  • 細い桟を組んだもの。桟が縦横に規則正しく通っているものと、菱形や麻の葉の形に組んであるものがある
  • 竹や葦を並べて編んだもの
  • ガラスや磨りガラスがはまっているもの

彫り抜いたものは、両面から彫ってあるか、片面だけかを見てください。裏へ回って、表と同じ絵柄がきちんと出ていれば両面です。片面だけのものは裏が平らか、彫りが浅くなっています。

組んだものは、桟の交わるところを見ます。釘の頭が見えるか、木と木が組み合わさって留まっているか。後者は、桟の一本を抜くと全体がほどけていく作りです。無理に押さえると割れます。

建具は一枚では収まらない

襖、障子、格子戸、雨戸。これらは枠にはまって初めて動くものなので、一枚だけを外して持ち出しても行き先が限られます。同じ部屋の何枚が組になっているか、先に数えてください。

四枚引き違いの障子なら四枚で一組です。そのうち一枚だけ紙が破れていても、四枚まとめてあることに意味があります。紙は張り替えられますが、枚数はそろえ直せません。

引き手の金具や、敷居に落とす錠の金具が付いているものは、外すときに一緒にしておきます。小さいので、床に置くと片付けの途中で無くなります。金具の見方は古い家具は処分前に確認した方がよい?で書いた家具の場合と同じですが、建具の金具は数がそろっているかどうかがより効いてきます。

測るのは幅と高さと厚み

欄間も建具も、次に使う人がいるかどうかは寸法で決まります。柱と柱の間、鴨居と敷居の間に収まらなければ、絵柄がどれほど良くても入りません。

  1. 幅。枠の外から外まで
  2. 高さ。同じく外から外まで
  3. 厚み。桟の細いところではなく、枠のいちばん厚いところ

巻き尺を当てた状態で写真を撮っておくと、数字を書き写す手間が省けます。単位を書き添えるのも忘れないでください。

外す人を決めるのは施主のほう

解体業者は、頼まれていないものを取り分ける義務を負っていません。重機で壊す前に手で外す作業が入ると、そのぶん日数と人手がかかります。「これは残す」と伝えていなければ、まとめて壊されるのがふつうです。

順番としては、見積もりを頼む段階で、外したいものを一覧にして渡すことになります。当日になって現場で言うと、工程がすでに組まれているため断られることがあります。

自分たちで先に外す場合も、業者に伝えておいてください。壁や天井を傷めると、解体の手順が変わることがあります。

庭にあるものは見積もりの範囲外のことがある

建具と一緒に相談をいただくのが、門や塀、庭木、庭にある石です。これらは建物の外なので、解体の見積もりに含まれていないことがあります。

市町の補助でも扱いが分かれます。尾道市の空き家の除却支援では、敷地内の附属物である樹木、門、塀などの除却は補助の対象に含まれません。詳しくは尾道市の空き家を解体する前ににまとめました。庭にある石や灯篭の運び出しは灯篭と庭石は重さで行き先が決まるで扱っています。

撮るのは5か所

  1. 部屋の入口から、欄間と建具が並んでいる状態の全体
  2. 欄間の正面。絵柄や桟が切れないように
  3. 欄間の裏側。表と同じ位置から
  4. 建具を一枚ずつ。枚数が分かるように並べても構わない
  5. 引き手や錠の金具を近くから

暗い部屋では、廊下側の障子を開けて光を入れてから撮ってください。欄間は高いところにあるので、真下から撮ると絵柄がつぶれます。少し離れて、正面に近い高さから撮るほうが分かります。

手放すと決めた後の行き先

外した欄間や建具を運ぶ場合、頼む相手に許可があるかは別に確かめます。家から出た物を運ぶ許可と、中古品を買い取る許可は別のものです。確かめ方は片付けを頼む業者に許可があるかにあります。

名前や作りが分からないままでも、記録は取れます。手順は名前の分からない古道具でも相談できる?と同じで、洗ったり削ったりする前に撮ることだけを守ってください。蔵や納屋の建具から先に手をつける場合は、建物と足元の安全を確かめてからにします(蔵の整理は何から始める?)。

解体の前に片付ける順番そのものは解体の前に片付けることに、家の骨組みにあたる梁や柱は梁と大黒柱は解体で木くずになるにまとめました。蔵や古民家をまとめて見るなら蔵・納屋・古民家の整理ガイドが入口になります。

欄間や建具は、家に付いているぶん、家財より後回しになりがちです。それでいて、いちばん戻せません。壊す前に外せるかどうかを一度考えてもらえたら、と思って書いています。

建設リサイクル法の分別解体等実施義務と、建設工事の規模に関する基準は、e-Gov 法令検索で条文を2026年7月30日に確認しました。尾道市の補助の対象範囲は同市の案内によります。年度で変わることがあるため、実際に申請する前に市へ確かめてください。