梁と大黒柱は解体で木くずになる|9割以上という数字の中身

解体で出た木は9割以上が再資源化・縮減されています。ただし縮減とは焼却や脱水のことで、材として次の家へ渡ることとは別です。梁や大黒柱が物として残るかどうかは、外す前に決まります。

解体で出た木材は、ほとんどが再資源化されています。国土交通省の建設リサイクル推進計画2020には、建設発生木材の実績値として2018年度の96.2パーセントという数字が載っています。目標は95パーセント以上で、2024年の達成基準は97パーセント以上。数字の上では、もう手のつけようがないほど高い水準です。

この数字は「材として使われた割合」ではない

同じ計画の表を見ると、品目ごとに指標の名前が違っています。アスファルト・コンクリート塊とコンクリート塊は「再資源化率」で、それぞれ99.5パーセント、99.3パーセント。ところが建設発生木材は「再資源化・縮減率」です。建設汚泥や建設廃棄物全体も同じ書き方になっています。

この「縮減」は、国土交通省の建設副産物適正処理推進要綱に定義があります。焼却、脱水、圧縮その他の方法により建設副産物の大きさを減ずる行為をいう、と書かれています。そして「再資源化等」とは再資源化及び縮減をいう、と続きます。

つまり、96.2パーセントという数字には燃やして減らしたぶんも入っています。木を木として使い直したという意味ではありません。同じ計画の中で、国自身がこう書いています。1990年代のリサイクル率は約60パーセントだったが2018年度は約97パーセントになった、今後はリサイクルされた材料の利用方法に目を向けるなど、リサイクルの「質」の向上が重要である、と。計画の副題も「質」を重視するリサイクルへ、です。

梁や柱は、家の中でいちばん大きな木の塊

古い家の梁は、いま製材されている木材とは太さが違います。差鴨居のように、鴨居と梁を兼ねた太い横木が入っている家もあります。大黒柱も、断面が30センチ近いものが残っていることがあります。

こうした材が次の家や店の改修で使われる場合、見られているのは絵柄や古さではありません。長さと断面です。短く切ってしまうと、使える場所がその長さに限られます。

だから記録は数字で取るのが早いです。

  1. 長さ。端から端まで。継いである場合は継ぎ目の位置も
  2. 断面。縦と横の2つ。丸い材なら太いところの直径
  3. 本数。同じ寸法のものが何本あるか

釘穴と黒ずみは、傷ではない

梁を見上げて、これは汚れているから駄目だろうと思われることがあります。囲炉裏やかまどのあった家では、煙で表面が黒くなっています。その黒さは表面だけで、内側は色が変わっていません。

穴も同じです。仕口といって、他の材を組むためにあけた四角い穴や、栓を打った丸い穴があります。これは作りの跡なので、家の組み方が読めるという意味では手がかりのほうです。

まれに、材の側面に墨で文字や記号が書かれていることがあります。建てるときに材の位置を示した印で、消さないでください。拭き取ってしまうと、どこに使われていた材かが分からなくなります。

逆に、見ておいたほうがいいのは水です。雨漏りが続いた下の材や、白い蟻の通った跡がある材は、外側が残っていても中が空になっていることがあります。叩いてみて音が軽い、押すと表面が沈む。そういう材は、無理に取り出す対象になりません。

「壊す」と「ばらす」は別の作業

重機で建物を倒す場合、梁は途中で折れます。組んであるところに力がかかるので、いちばん残したい仕口のあたりから割れることも珍しくありません。

材として取り出すには、屋根と壁を先に外し、上から順に組みをほどいていく手順になります。人手と日数が変わるので、これは見積もりの内容そのものが変わる話です。解体の当日に頼めることではありません。

見積もりを取る前の順番は解体の前に片付けることにまとめました。補助金を使う予定があるなら、先に手をつけると対象から外れることがあるため補助金を使うなら、片付ける前に順番を確かめるも見ておいてください。

取り出した後の置き場所が要る

ここで止まる例をよく聞きます。せっかく外したのに、置く場所が無い。長い材は屋内に入りません。

雨に濡れたままにすると、外した意味が薄くなります。地面に直接置くのも避けたいところです。下に何かを渡して浮かせ、上を覆う。それだけでも、引き取りまでの間はもちます。

納屋や蔵が残っているなら、そこが仮置きになることがあります。ただし建物の側が傷んでいる場合は先に足元を確かめてください(蔵の整理は何から始める?)。蔵と納屋は母屋と別に考えたほうがいい理由を尾道の蔵と納屋を片付けるで書いています。

運ぶ相手を先に決めておく

材の引き取りを頼むとき、相手に許可があるかは別に確かめます。家から出た物を運ぶ許可と、中古品を買い取る許可は別です。名簿での確かめ方は片付けを頼む業者に許可があるかにあります。

家に付いている物としては、鴨居の上の欄間や建具のほうが先に無くなります。そちらは欄間と建具は解体の前に外すで扱いました。古い物の見方をまとめて知りたい場合は古い物を手放す前のガイドが入口です。

数字が高いことと、家の柱が次の家へ渡ることは、別の話だと思っています。96.2パーセントに入るだけなら、何もしなくてもそうなります。そこから外へ出すかどうかは、重機が入る前の何日かで決まってしまいます。

建設発生木材の実績値と達成基準は国土交通省「建設リサイクル推進計画2020」の公表資料、縮減と再資源化等の定義は同省「建設副産物適正処理推進要綱」により、いずれも2026年7月30日に確認しました。実績値は2018年度のもので、その後の調査で数字は変わります。