古い紙幣と硬貨が出てきたら|使えなくても捨てない

日本銀行はこれまでに56種類の銀行券を発行し、うち25種類が有効だとしています。流通に不便なものは本支店で引き換えられます。使えない札にも集める人がいるので、磨かず、入れ物ごと残してください。

簞笥の引き出しや仏壇の奥から出てくる古い紙幣と硬貨。「今はもう使えないから」と紙くずと一緒に捨てられることがありますが、使えるかどうかと、捨ててよいかどうかは別の話です。

これまでに56種類、いま有効なのは25種類

日本銀行は、1885年(明治18年)に日本銀行として初めて銀行券を発行してから現在までに56種類の銀行券を発行しており、そのうち現在発行している種類と、既に発行されなくなった種類を含めて25種類が有効だとしています。

つまり、家から出た古い札の多くは、いまも額面どおりの価値を持っています。見慣れない絵柄でも、有効なら額面で使えます。

そして、既に発行されなくなって流通に不便な銀行券は、日本銀行の本支店で現在発行されている銀行券と引き換えることができます。同行は例として、肖像画が聖徳太子の一万円券を挙げています。

有効な25種類を、額面ごとに並べる

25種類と言われても、手元の1枚が入っているかどうかは分かりません。日本銀行が出している現在有効な銀行券(2024年7月現在)から、額面ごとに肖像と図柄を並べるとこうなります。

  • 一万円券(4種)— 渋沢栄一、福沢諭吉(2種)、聖徳太子
  • 五千円券(4種)— 津田梅子、樋口一葉、新渡戸稲造、聖徳太子
  • 千円券(5種)— 北里柴三郎、野口英世、夏目漱石、聖徳太子、伊藤博文
  • 二千円券(1種)— 守礼門
  • 五百円券(2種)— 岩倉具視(2種)
  • 百円券(2種)— 板垣退助、聖徳太子
  • 五十円券(1種)— 高橋是清
  • 十円券(1種)— 国会議事堂
  • 五円券(1種)— 彩紋
  • 一円券(4種)— 武内宿禰(2種)、大黒像、二宮尊徳

肖像が一致すれば、その札は有効です。五円、十円、五十円、百円、五百円の「札」も、いまも通用します。硬貨しか知らない世代には見慣れませんが、捨てる物ではありません。

同じ肖像で2種類ある券は、発行の時期が違います。一万円券の福沢諭吉は平成16年からと昭和59年から、五百円券の岩倉具視は昭和44年からと昭和26年から、一円券の武内宿禰は昭和18年からと明治22年から。絵柄が同じでも、年代は別です。

年代は記番号の色で分かれる

もう少し細かく見るなら、券の左上と右下にある記番号です。アルファベットと数字の並びで、この色が途中で変わっています。

  • 福沢諭吉の一万円券 — 黒色は平成16年から、褐色は平成23年から
  • 樋口一葉の五千円券 — 黒色は平成16年から、褐色は平成26年から
  • 野口英世の千円券 — 黒色は平成16年から、褐色は平成23年から。さらに平成31年から別の褐色がある
  • 夏目漱石の千円券 — 昭和59年から平成12年までの間に4回、記番号の扱いが変わっている

読み取れなくても構いません。記番号が写るように撮っておけば、後から年代を絞れます。券の四隅を切らずに、1枚ずつ平らに置いて撮ってください。数が多ければ、種類ごとに代表の1枚で足ります。

ここまでで分かるのは、使えるかどうかと、いつごろの券かまでです。そこから先の値打ちは、状態と枚数と、その時々の需要で決まります。だから、きれいにしないことと、まとめないことのほうが先になります。

使えない札にも、捨てない理由がある

56種類のうち有効なのは25種類なので、残りは通用力を持ちません。ただ、そこで「価値がない」と決まるわけではありません。額面として使えないことと、集める人がいることは別だからです。

家から出てくる紙幣は、古いものほど枚数が少なく、しかも状態がまちまちです。折り目のない一枚と、四つ折りで財布に入っていた一枚は、同じ種類でも扱いが変わります。だからこそ、まとめて袋へ入れる前に分けておくほうがいいのです。

磨かない、洗わない

硬貨は、黒ずんだり緑がかったりしていると汚れて見えます。しかし、金属の表面に長い年月でできた層は、こすると戻りません。歯磨き粉、金属みがき、酢、重曹。どれも表面を削ります。

紙幣も同じで、しわを伸ばそうとしてアイロンを当てたり、汚れを落とそうとして消しゴムを使ったりすると、そこだけ紙の表面が変わります。折り目は折り目のまま出してください。

「きれいにしてから見てもらおう」という気づかいが、いちばん戻せない結果になります。乾いた場所へ移すところまでにとどめてください。

入れ物ごと残す

古い金は、たいてい何かに入って出てきます。中身だけを取り出して並べ替えると、由来が分からなくなります。

  • 紙の帯が巻かれたままの束
  • 銀行や郵便局の名前が入った封筒、袋
  • 厚紙の台紙に並べて留めてある物
  • 小さな箱、桐の箱、透明な袋に1枚ずつ入った物
  • 贈答用の箱に入ったまま開けられていない物

台紙や封筒に、日付や誰が用意したかが書かれていることがあります。中身を出して封筒を捨てると、その情報が消えます。箱を手がかりにする考え方は古い食器は売れる?と同じです。

撮るのは4か所

  1. 入れ物に入ったままの全体
  2. 広げて並べた全体。何枚あるかが分かるように
  3. 表。数字と絵柄が読める距離で
  4. 裏。硬貨は必ず両面を撮る

硬貨は重ねると下が見えないので、平らに並べてください。数が多ければ、袋ごとの写真と、代表的な数枚の写真で足ります。読めない文字は読めないまま撮る、という進め方は名前の分からない古道具でも相談できる?と同じです。

記念の硬貨と、外国の金

行事に合わせて作られた硬貨が、箱やケースに入ったまま出てくることがあります。銀行で額面のまま預けられるものと、そうでないものがあるため、ケースから出さずに分けておいてください。

旅行や仕事で持ち帰った外国の紙幣や硬貨も、引き出しの奥に残っていることがあります。国ごとに扱いが違い、すでに使われていない通貨もあります。これも捨てる前に分けておけば足ります。

蔵や納屋の古い箱から出てくる場合は、先に建物と足元を確かめてください。順番は蔵の整理は何から始める?に書きました。

手放すと決めた後の行き先

使える札と硬貨は、金融機関へ持って行けば預けられます。流通に不便なものは、日本銀行の本支店で引き換えられます。まとめて処分する物の中に混ぜないでください。

買取を頼むなら、その業者に古物商の許可があるかを確かめます。家から出た物を運ぶ許可とは別の許可です。確かめ方は片付けを頼む業者に許可があるかにあります。

遺品整理の途中なら、処分と買取のどちらを先にするかで手順が変わります。遺品整理と買取はどちらが先?を先に読んでおくと、二度手間になりません。

磨かない、入れ物ごと残す、まとめて袋に入れない。この3つで判断は後からできます。実家の片付け中なら捨ててはいけない物として一度保留してください。

古い物の見方は古い物を手放す前のガイド、確認対象の例は相談対象になりやすいものにまとめています。

銀行券の種類数と引き換えについては、日本銀行「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?」で2026年7月29日に確認しました。額面ごとの内訳と記番号の色は、同行の「現在有効な銀行券」(2024年7月現在)に拠ります。値打ちの目安や買取の相場は、状態と時期で変わるため書いていません。