遺品整理で捨て方が分からない物|仏壇・神棚は市町で扱いが逆になる

仏壇の扱いは市町で逆になります。福山市は燃やせる粗大ごみ、三原市と世羅町は収集しないごみ、尾道市は項目自体がありません。相続税では非課税ですが、骨とう品は別扱い。宗派で「魂抜き」と言わないこともあります。

遺品整理で捨て方が分からない物|仏壇・消火器・注射針・日本刀の出す先

片付けの手が止まる物には二種類あります。捨ててよいのか分からない物と、捨て方が分からない物です。前者は実家の片付けで捨ててはいけない物にまとめました。ここで扱うのは後者、手放すと決めたのに出す先が家庭ごみではない物です。

ごみの区分表に載っていない物がある

仏壇、仏具、神棚、位牌。尾道市の家庭ごみ分別ガイドブックは地域ごとに5種類ありますが、その「分別50音順」には、この4つの項目が1つもありません(2026年4月1日更新)。

抜けているのは、並びを見れば分かります。か行は「カミソリ(電動)」の次が「紙箱」で、読みの順なら間に入るはずの神棚がありません。ふ行も「ブラインド」の次が「プラスチック容器」で、仏壇の位置が空いています。5地域とも同じです。

載っていないことは、出せないことでも、出せることでもありません。問い合わせないと決まらない、ということです。

同じ広島県でも、隣の市で結論が逆になる

「自治体によって違います」とだけ書かれていることが多い項目ですが、どう違うのかを並べると、想像より幅があります。備後の4市町を実際に引くとこうなります。

市町仏壇の区分
福山市燃やせる粗大ごみ
三原市収集しないごみ
世羅町町で収集しないもの
尾道市項目が無い(5地域とも)

福山市のごみ分別辞典は、仏壇を757品目のひとつとして載せています。区分は燃やせる粗大ごみで、備考に「又は燃やせるごみ」「付属品は取り外して、50cm以下は燃やせるごみ」とあります。市が収集する物として扱われています。

一方、三原市の一覧表は仏壇を「収集しないごみ」に置き、備考は「専門の処理業者へ」。世羅町も「町で収集しないもの」で、案内は同じです。

車で1時間の範囲に、市が引き取る所と引き取らない所が並んでいます。「仏壇は粗大ごみに出せる」と読んだ記事が、自分の市に当てはまるとは限りません。神棚・位牌・仏具については、4市町とも項目自体がありません。仏壇だけが載っている市でも、付属品の扱いは別に聞くことになります。

先に家族で決めるのは、処分の方法ではありません。誰が寺に聞くか、です。魂抜きや御霊抜きが要るかどうかは、家の宗派と付き合いのある寺の考え方によります。木、金属、陶器、ガラスが混ざる物なので、そのまま出せるのか、分けるのかも一緒に確かめます。

相続税では非課税。ただし「骨とう品」は別扱い

相続の手続きが進んでいる家では、もうひとつ確かめておくことがあります。仏壇や神棚は、相続税のうえでは非課税財産にあたります。

国税庁の相続税法基本通達12-2は、非課税とされる「これらに準ずるもの」を「庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているもの」と定めています。ごみの区分表には載っていない4つが、ここでは名指しで並んでいます。

ただし、同じ条文はこう続きます。「商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれない」。

つまり、日常礼拝に使っていた物と、価値のある品として持っていた物は、税のうえでは分かれるということです。この線は処分と買取の境目とほぼ重なります。仏間に据えてあった仏壇は前者ですが、床の間や蔵にしまわれていた仏像や仏具は、必ずしもそうとは限りません。

どちらにあたるかを自分で判断する必要はありません。ただ、置かれていた場所と使われ方は、動かす前に写真で残しておいてください。相続税の申告が必要になる家では、税務署か税理士に確かめる材料になります。当サイトは税務の相談先ではありません。

宗派で呼び方が違う。公式が何と言っているか

「魂抜き」「お性根抜き」という言葉を先に覚えて寺へ電話すると、話が噛み合わないことがあります。宗派によって、その言い方自体を使わないからです。

浄土真宗本願寺派は、新しい仏壇に本尊を迎えるときの法要を「入仏法要」と呼び、「『お魂入れ』や『お性根入れ』とは言いません。『入仏法要』もしくは『入仏式』と言ってください」と書いています。墓についても「お墓が完成したら、建碑式(法要)を行います。お性根入れとは申しません」。

位牌の扱いも違います。同じ公式サイトは「浄土真宗では位牌を用いません」とし、代わりに法名・俗名・死亡年月日を記す過去帳を挙げています。位牌が家に無いことが、そもそも普通という宗派があります。

では他の宗派はどうか。曹洞宗の公式サイトにあるのは仏壇のまつり方と本尊の配置、それに「古いお位牌は向かって右に、新しいお位牌は左におまつりします」という並べ方まで。真宗大谷派は本尊の求め方と荘厳の作法まで。どちらも、閉眼や処分に触れた記載は見当たりません。

公式に書いていないことは、寺ごとに聞くしかない、ということです。

だから電話では、覚えた用語を使わないほうが早く通じます。「仏壇を片付けることになったので、先にお伺いすることはありますか」。これで足ります。

神棚は、本体より先に中のお札を決める

神棚は仏壇と一緒に語られがちですが、困りどころが違います。本体より、中に納まっている物のほうが数が多い。お神札、神具、榊、米や塩。棚板と宮形も別の物です。

神社本庁は、お神札をまつる棚を「神棚」、お神札を納めるお宮を模した入れ物を「宮形」と呼び分けています。そのうえで「始めて神棚を設置する場合や古い神棚を取り換える場合、神職にお祓いをしてもらい、神棚のお祭りを行うとよいでしょう」「宮形選びや神棚のお祭りの際は、氏神神社の神職に相談してみましょう」としています。

ここで注意したいのは、神社本庁の案内に「神棚の処分」という項目が無いことです。書かれているのは取り換えるときのお祓いと、氏神神社への相談まで。「神社へ持って行けば引き取ってもらえる」と読める記載はありません。受けるかどうかは神社ごとに違うので、決める前に電話することになります。

お神札のほうは、行き先がはっきりしています。同じ神社本庁の案内は「古いお神札は1年間お守りいただいたことに感謝を申し上げてから、お神札を受けた神社の古神札納所等へ納めてお焚き上げをしていただき」と書いています。時期についても「多くの神社では、大晦日から1月15日(小正月)までの間に『左義長』や『どんど焼』等が行われ」とあります。

  • お神札 — 受けた神社の古神札納所へ。年明けの左義長・どんど焼でも受けている
  • 宮形・棚板 — 氏神神社に相談する。受けるかどうかは神社ごとに違う
  • 神具(榊立て、瓶子、皿、鏡) — 陶器・金属・ガラスが混ざるので分けられるか確かめる
  • 米、塩、酒、榊 — 傷むので先に下げる

棚を外すのは最後です。高い所に打ち付けてあることが多く、一人で外そうとすると落ちます。

引き取り手そのものが減っている

仏壇店に相談しようとして、閉まっていた。そういうことが起きます。作る側の数が、そもそも減っています。

文化庁の宗教関連統計に関する資料集は、経済産業省の工業統計調査から宗教用具の数字を引いています。ここでの「宗教用具」は「仏壇及び神棚並びにその関連用品(神具,仏具など)」を指します。

  • 出荷金額 — 平成2年の約1,200億円をピークに減り続け、平成23年には約443億円
  • 産出事業所数 — 2,000事業所を超えていた昭和58年から、平成23年には1,103事業所

金額はおよそ3分の1、事業所は半減しています。買ったときの店がもう無い、という前提で動いたほうが早い。市の窓口、氏神神社、菩提寺。連絡先を1つずつ当たることになります。

消火器には別の道が用意されている

納屋や台所の隅から出てくる消火器は、家庭ごみの区分に無いのが普通です。代わりに消火器リサイクル推進センターの仕組みがあります。リサイクルシールを貼り、特定窓口か指定引取場所へ持ち込む形です。特定窓口は販売代理店や防災事業者が担い全国に約5,000か所、指定引取場所はメーカーの営業所や廃棄物処理業者で約200か所あります。

指定引取場所へ自分で持ち込めば、かかるのはシール代だけです。引き取りに来てもらう場合は収集運搬費が別に要ります。エアゾール(スプレー)式の簡易消火具と外国メーカー製の消火器は、この仕組みの対象外です。そちらは住んでいる市町のルールで出します。

注射針と薬は、市町で答えが変わる

在宅で療養していた家では、注射針や点滴の道具が残ります。環境省の在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引きは、これらを廃棄物処理法上の一般廃棄物とし、処理責任は原則として市町村にあるとしています。そのうえで現段階で最も望ましい方法として、注射針などの鋭利な物は医療関係者か患者・家族が医療機関へ持ち込んで感染性廃棄物として処理し、鋭利でない物は市町村が一般廃棄物として処理する、という形を挙げています。

同じ手引きは、薬剤師会による注射針の回収は自主的なもので、回収する場合としない場合があるとも注記しています。市町や薬局で答えが違うのは、そのためです。残った薬も同じで、まとめて捨てる前に、処方を受けた薬局に持って行けるかを聞くのが早い。流しやトイレへ流すのはやめてください。

刃物は、包丁と日本刀で手続きが違う

包丁、鉈、鎌は、住んでいる市町の区分に従います。出し方(包む、表示する)が区分とは別に指示されていることがあるので、そこまで読んでください。

日本刀は別です。銃砲刀剣類所持等取締法は第3条で所持そのものを原則として禁じており、美術品として価値のある刀剣類は、同法第14条により都道府県の教育委員会の登録を受けてはじめて持つことができます。登録証があるかどうかで、やることが変わります。

  • 登録証がある場合。相続で取得したら、20日以内に登録されている都道府県の教育委員会へ所有者変更届を出します(手数料は不要)
  • 登録証が無い場合。最寄りの警察署へ現物を持って行き、発見届を出します。発見届出済証が発行されます

広島県教育委員会の案内には、発見届のときに所持を希望しないならその旨を申し出るようにと書かれています。持ち出す前に警察署へ電話し、運び方を聞いてください。自分で処分しようとしないこと。

制度が無い物は、決め方を先に決める

写真、手紙、アルバム、人形。ここには窓口も手続きもありません。全部残すか全部捨てるかで考えると止まるので、量の上限を先に決めます。この箱1つ分、と決めて選ぶ。撮って残すのでもかまいません。

人形やぬいぐるみの供養を受ける寺社もありますが、どこでも受けているわけではありません。頼むなら、決める前に問い合わせます。名前も用途も分からない道具が出てきたときは、名前の分からない古道具のほうへ。

捨てにくい物ではなく、分ける物

現金、通帳、印鑑、権利証、有価証券。これらは捨て方の話ではなく、相続財産として分ける物です。手を付ける前に一覧にしておくと、あとで探し直さずに済みます。売れる見込みのある物を先に見るかどうかは、遺品整理と買取はどちらが先かに書きました。

同じ引き出しから、いま使えない札や硬貨が出てくることもあります。日本銀行によれば、これまでに発行された銀行券56種類のうち有効なのは25種類。使えない券にも捨てない理由があります。扱い方は古い紙幣と硬貨が出てきたらに、床の間から出た掛け軸や仏間の茶道具はそれぞれの記事にまとめました。

出す先が家庭ごみではない物は、手が止まって当たり前です。区分表に載っていないのも、宗派で言い方が違うのも、こちらの調べ方が足りないからではありません。止まった場所ごとに、電話をかける先が1つ決まれば進みます。

2026年7月29日に確認しました。ごみの区分は尾道市・福山市・三原市・世羅町の各案内、相続税の扱いは国税庁の相続税法基本通達、宗派の記載は浄土真宗本願寺派の仏事についての案内、神棚とお神札は神社本庁、宗教用具の統計は文化庁「宗教関連統計に関する資料集」(経済産業省・工業統計調査)に拠ります。消火器の窓口と在宅医療廃棄物の扱いは2026年7月28日に確認しました。ごみの区分は市町や年度によって変わります。税務の判断は税務署か税理士へご確認ください。