押し入れや納戸から出てくるレコードは、古くなって使えなくなった物とは限りません。国内の生産量は、この10年で増え続けています。
レコードは今も作られている
日本レコード協会の年次推移によると、アナログディスクの生産数量は2016年が799、2025年が3,378です(単位は千枚・巻)。10年で4倍を超えました。2021年には前年比174%という年もあります。
再生する機械が売られていて、新しい盤も作られている。それはつまり、家に残った盤にも聴く人がいるということです。「もう再生できない物」という前提で袋にまとめてしまう前に、少しだけ手を止めてください。
枚数が多いのは、当たり前のこと
ただし、数が残っていること自体は珍しくありません。同じ協会の記録では、生産数量の過去最高は1976年の1億9,975万2,000枚です(2025年末時点)。生産金額の最高は1980年の1,812億3,800万円。
いま3,378千枚、つまり約338万枚ですから、ピーク時はその約59倍が1年で作られていたことになります。家に100枚あっても、それは当時としては普通の量です。
だから「たくさんあるから価値がある」とは限りません。逆に「よくある盤だから捨ててよい」とも限りません。数ではなく、何がどういう状態で残っているかで決まります。だからこそ、袋にまとめる前に置き場所ごとに分けておくほうが早いのです。
盤を袋から抜かない
まとめて運ぶとき、かさばるからと外袋を捨てる人がいます。ですが、外側の紙も中身のうちです。
- 外袋(表と裏に絵や文字が入っている紙)
- 内袋(盤を直接包む薄い袋。印刷が入っていることもある)
- 帯(外袋の背に巻いてある細長い紙)
- 中に挟まれた紙。歌詞や解説、注文の葉書
とくに背に巻いてある細長い紙は、外れて箱の底に落ちていることがあります。掃除の途中で紙くずと一緒に捨てられやすいので、盤より先に拾っておいてください。
外袋と中身が入れ替わっていることもあります。よくあることなので直す必要はありません。そのまま出せば、後から突き合わせられます。
厚くて重い盤は別に分ける
戦前から昭和20年代にかけての盤は、いま一般に出回っている物とは材質が違います。手に取ると厚く、重く、たわみません。落とすと欠けたり割れたりします。
回す速さも今の機械と合わないことがあり、家にあるプレーヤーでは音が出せません。「かけてみて音が出ないから壊れている」と考えて捨てられるのは、たいていこの種類です。
見分け方は難しくありません。同じ大きさでも、明らかに厚くて重い。中央の紙の色や書体が周りと違う。この2つが目印です。分けて、重ねすぎずに立てて置いてください。
もうひとつ、確かめる方法があります。中央のラベルに回転数が印刷されています。数字は3通りで、33、45、78。毎分の回転数で、盤によっては「RPM」と併記されています。78と書いてあれば、それが分けるべき盤です。直径も厚みも材質も、この数字に沿って分かれます。
ラベルが剥がれている、文字が薄れて読めない、という盤もあります。その場合は厚みと重さで分けておけば足ります。読めない物は読めないまま撮る。それで判断は後からできます。
反りとかびは置き方で決まる
盤は、平らに積み上げると下のものから反ります。押し入れに横積みで20年入っていた束は、上から順に取り出して、立てて並べ直してください。
白い粉のような点が溝に沿って出ている場合は、拭かずにそのままにします。乾いた布でこすると、粉ごと溝へ押し込むことになります。水や洗剤を使うのも、乾き方によっては悪くなります。
紙の袋がしめっていたら、盤だけを抜いて別の乾いた袋へ移すより、束ごと風の通る部屋へ移すほうが確実です。急いで一枚ずつ手当てすると、かえって傷が増えます。
撮るのは5か所
- 棚や箱に入ったままの全体。何枚あるかが分かるように
- 外袋の表
- 外袋の裏。文字が細かいので近づいて
- 盤の中央の紙。数字と文字が読める距離で
- 背に巻いた紙があれば、その文字
1枚ずつ並べる必要はありません。まず束の全体を撮り、そのうえで気になった数枚を近くから撮ってください。撮り方の考え方は名前の分からない古道具でも相談できる?と同じです。
量がある家は、置き場所ごとにまとめる
レコードのある家は、たいてい1枚や2枚では終わりません。押し入れの箱、居間の棚、子ども部屋の隅と、家じゅうに分かれて残っていることがあります。
動かす前に、置いてある場所ごとに撮っておくと後から数が合います。棚ごと動かすなら、棚自体も残すか手放すかの判断が要ります。家具の見方は古い家具は処分前に確認した方がよい?にまとめました。
再生する機械が一緒に出てくることもあります。針、腕、ふた、脚。動かなくても、そろっているかどうかで扱いが変わります。扱いは蓄音機とオーディオが残っていたらに書きました。動かないことと壊れていることは別です。
手放すと決めた後の行き先
盤は割れるので、ごみとして出すときも他の袋と分けます。区分の呼び名は市町村ごとに違い、枚数が多ければ持ち込みになります。自分の地区の案内を先に確かめてください。
買取も頼むなら、その業者に古物商の許可があるかを確かめます。家から出た物を運ぶ許可とは別の許可です。確かめ方は片付けを頼む業者に許可があるかにあります。
遺品整理の途中なら、処分と買取のどちらを先にするかで手順が変わります。遺品整理と買取はどちらが先?を先に読んでおくと、二度手間になりません。
袋のまま立てて置く、厚い盤を分ける、拭かない。この3つだけ守っておけば、判断は後からできます。実家の片付け中なら捨ててはいけない物として一度保留してください。
古い物の見方は古い物を手放す前のガイド、確認対象の例は相談対象になりやすいものにまとめています。
アナログディスクの生産数量と過去最高実績は、一般社団法人日本レコード協会「アナログディスク 生産数量・金額推移」で2026年7月29日に確認しました。単位は千枚・巻、過去最高は2025年末時点の値です。回転数と材質の対応は盤そのものの表示で確かめてください。ごみの区分は市町村ごとに異なります。




