納戸から、大きな木の箱に入った音の器械が出てくることがあります。ラッパの付いた物、真空管が並んだ物、木のスピーカー。動くかどうかを試したくなりますが、その前に見ておくと話が早い場所があります。
電源コードが付いているかを先に見る
音の器械には、電気を使う物と使わない物があります。ぜんまいを巻いて回す蓄音機には、電源コードがありません。真空管の並んだ器械やスピーカーには付いています。
この違いで、あとの話が変わります。コードの有無と、あればその先の形(刃が2本か3本か)を確かめてください。
差し込む前に、コードの被覆を見ます。ひび割れて中の線が見えている物は差さないでください。長く置かれた器械では珍しくない傷みです。
政令が名指ししている音の器械
電気を使う品のうち、決まりの掛かるものは電気用品安全法施行令に一覧で挙げられています。音に関わるものは、次の2つです。
- ラジオ受信機、テープレコーダー、レコードプレーヤー、ジュークボックスその他の音響機器
- 電気楽器
ここで気づくことがあります。「蓄音機」という言葉は、この一覧に出てきません。「増幅器」も出てきません。
出てくるのは「その他の音響機器」というまとめ方です。家にある器械がそこに入るのかどうかは、名前で引けるようにはなっていません。
だから、持ち主が自分で当てはめる話ではない、と考えておくほうが安全です。理由は次の節にあります。
決まりが掛かるのは、売る側
電気用品安全法の第27条は、こう定めています。
「電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、…表示が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。」
名宛人は「製造、輸入又は販売の事業を行う者」です。家にある物を手放す側ではありません。
つまり、この決まりで困るとしたら、引き取ったあとにそれを売る業者のほうです。だから、器械を持ち込む前に、その業者が古い電気製品を扱っているかどうかを聞いておくと早い。
古い表示のままでも、売ることはできる
昔の電気製品には、いまと違う表示が付いています。以前はその製品を売るときに、売る側が自分で検査をやり直す必要がありました。
経済産業省は、この扱いが変わったことをこう書いています。
「特に期限を設けずに、旧法に基づく表示を電安法に基づく表示とみなすこととし、旧法表示が付された電気用品については、検査を要せず、そのまま販売が出来るようになります。」
施行日は平成19年12月21日です。古い表示が付いていることは、それだけでは行き先をふさぐ理由になりません。器械の裏や底に貼られた札は、はがさずに残してください。
表示が無い物には、承認を受けた店がある
表示そのものが無い物もあります。決まりができる前に作られた器械です。この場合は、承認を受けた事業者が売る仕組みが別に用意されています。
対象になる品は「電気楽器等」と呼ばれていて、その中身はこう書かれています。
「電気楽器等とは、電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付器、写真引伸機、写真引伸機用ランプハウス及び映写機をいいます。」
承認を受けた事業者が売るときには、次の3つが求められています。
- 承認を受けた事業者であることを、客から分かるようにしておく(承認書を店頭に掲げるなど)
- 表示の付いていない品であること、扱いに慣れた人に売る品であることを説明し、相手がそうであることを確かめる
- 売った記録を残す
手放す側が申請するものではありません。見ておくとよいのは「そういう扱いのある品が家から出た」という一点だけで、処分に回す前に一度止まる理由になります。
照明器具には、別の線が引いてある
同じ仕組みの中に、古い照明器具の項目もあります。こちらは対象がはっきり書かれています。
電気スタンドやその他の白熱電灯器具などのうち、昭和43年11月に施行された決まりより前に作られた物で、主に飾って見るための古美術品であり、めったに無い品(通常1点もの)として取引されるもの、とされています。
年代の線が引かれているのが特徴です。家の照明を外すときは、傘と台と配線を離さずに置いてください。
撮るのは5か所
- 全体。ふたのある物はふたを開けた形で
- 裏面や底の札。文字が読める明るさで
- 電源コードの先。差し込みの形が分かるように
- 中が見える物は、真空管や部品の並び
- 付属品。針、腕、覆い、脚、取扱いの紙
読めない文字は読めないまま撮ってください。この進め方は名前の分からない古道具でも相談できる?と同じです。同じ家にレコードがあるなら、盤のほうは家のレコードは売れる?に扱いを書きました。
手放すと決めた後の行き先
電気を使う器械は、多くの市町村で小型家電や不燃の区分になります。木の箱に入った大きな物は粗大ごみです。区分の呼び名も大きさの線引きも市町村ごとに違うので、自分の地区の案内を確かめてください。
買取も頼むなら、その業者に古物商の許可があるかを確かめます。家から出た物を運ぶ許可とは別の許可です。確かめ方は片付けを頼む業者に許可があるかにあります。
遺品整理の途中なら、処分と買取のどちらを先にするかで手順が変わります。遺品整理と買取はどちらが先?を先に読んでおくと、二度手間になりません。
差さない、札をはがさない、付属品を離さない。この3つで判断は後からできます。動かないことがそのまま壊れていることを意味しないのは、機械物に共通します。考え方はフィルムカメラが出てきたらと同じです。実家の片付け中なら捨ててはいけない物として一度保留してください。
古い物の見方は古い物を手放す前のガイド、確認対象の例は相談対象になりやすいものにまとめています。
電気用品の一覧は電気用品安全法施行令(昭和三十七年政令第三百二十四号)を、第27条の条文と旧表示の扱い、電気楽器等の範囲、古い照明器具の要件は経済産業省の各ページを、いずれも2026年8月2日に確認しました。施行令の一覧に「蓄音機」「増幅器」の語はありません。家にある器械がどれに当たるかを、この記事で判定することはできません。ごみの区分は市町村ごとに異なります。




