遺品整理はいつから始めるか|四十九日ではなく、期限から逆算して決める

遺品整理を始める時期に決まりはありません。四十九日を待つ必要もありません。実際に効いてくるのは、相続放棄の3か月、準確定申告の4か月、相続税の10か月、相続登記の3年という期限のほうです。

遺品整理はいつから始めるか|四十九日ではなく、期限から逆算して決める

身内が亡くなったあと、家の片付けをいつ始めるか。四十九日が過ぎてから、と聞くことが多いと思います。ただ、法律や税の側にその区切りはありません。日程を決めているのは、相続の手続きに付いている期限のほうです。

四十九日は、片付けの期限ではない

四十九日は仏事の区切りで、遺品整理を始めてよい日を決めているわけではありません。翌日に手をつけても、半年置いても、それ自体で困ることはありません。目安に挙げられるのは、親族が集まる日だからです。

問題は、四十九日が来るころには最初の期限がもう目の前にあることです。区切りを待っているうちに、選べる道が減ることがあります。

最初の1年に、3つの期限が来る

相続放棄と限定承認の申述は、裁判所「相続の放棄の申述」によると、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。調べても判断がつかない場合は期間の伸長を申し立てられますが、黙って過ぎるのを待つ形にはなりません。

借金が残っている可能性があるうちは、家財を売ったり運び出したりする前に確かめてください。この段階の片付けは、記録を取るところまでにしておくのが無難です。

故人に事業や不動産の収入があった場合は準確定申告があります。国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告」では、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内。帳簿や領収書の束は、それまで捨てられません。

相続税は、国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」によると、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税をします。ここで効くのは家財も相続財産だという点です。書画、骨董、貴金属が家から出てくることは珍しくなく、運び出してからでは確かめられません。

相続登記は3年以内。義務になった

法務省「相続登記の申請義務化について」によると、令和6年4月1日から、相続の開始と不動産の所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。

見落としやすいのは、施行より前に相続した不動産も対象になることです。同じページには、登記がされていなければ令和9年3月31日までに登記する必要がある、と書かれています。

祖父の名前のまま、という家に心当たりがあるなら、そちらが先に来ます。名義が決まらないと、解体も売却も補助の申請も動きません。

置いておく間も、費用は出ていく

固定資産税、火災保険、電気や水道の基本料金、庭木の手入れ。どれも住んでいなくてもかかります。

加えて、放っておくと税額そのものが上がる場合があります。2023年12月施行の改正空家法で管理不全空家等という区分ができ、勧告を受けると土地の固定資産税が6分の1になる住宅用地特例が外れます。詳しくは空き家を放っておくと固定資産税が上がるにまとめました。「壊さなければ税金は安いまま」という前提は、もう成り立ちません。

売るつもりなら、建築年を先に見る

実家を売る可能性があるなら、片付けの前に建物の建築年を確かめてください。国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋に限られます。

期限は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。特例そのものの適用期間も令和9年12月31日までです。取り壊しか耐震改修が要件に入っているので、中身が入ったままでは動かせません。要件と控除額は相続した空き家を売るなら3,000万円の控除に書きました。

期限が決まる前でも、できることはある

相続の形が決まるまで大きく動かせないのは確かですが、手をつけられる範囲はあります。

  • 物を動かす前の部屋を、部屋ごとに撮っておく
  • 通帳、権利証、保険、年金、税の書類を探して一か所にまとめる
  • 建物の登記事項証明書を取り、建築年と名義を確かめる
  • 家族の誰が何を残したいかを聞いて、記録に残す
  • 借り物と、返す先のある物を分ける

どれも処分を伴わないので、相続の判断より先に進められます。写真と書類が揃っていると、話し合いも見積もりも早くなります。

家財の分け方は空き家の家財はどう処分する?、全体の手順は実家の片付けは何から始める?、売れる物の確認と処分の順番は遺品整理と買取はどちらが先?を見てください。

始める時期に正解はありません。ただ、期限のほうは向こうから来ます。3か月、4か月、10か月、3年。この4つを手帳に書いておくだけでも、いつまでに何を決めるかが見えてきます。窓口が地域で分かれている市もあります。尾道市の例は改葬許可と死亡後の手続きにまとめました。

公式情報確認日:2026年7月27日。期限と要件は法改正で変わります。ここに書いたのは法務省「相続登記の申請義務化について」(更新日 令和8年4月1日)、国税庁タックスアンサー No.2022・No.4205・No.3306(いずれも令和7年4月1日現在法令等)、裁判所「相続の放棄の申述」に拠ります。個別の判断は税務署、税理士、司法書士、弁護士に確かめてください。当サイトは税務や法律の相談先ではありません。