屏風と衝立は立てたまま持たない|中は木の骨に紙を重ねた物

畳んだ屏風は板のように見えますが、中は木の骨組みに紙を貼り重ねた物です。立てて持つと重みが下の縁に集まります。横にして、面を上に向け、二人で運んでください。

仏間の隅や押し入れの奥に、畳んだ屏風が立てかけてある。運び出すときも、そのまま立てて持つほうが場所を取りません。ただ、これがいちばん傷めます。持ち方を変えるだけで防げるので、動かす前に読んでください。

立てたまま持たない

畳んだ屏風は、細長い板のように見えます。実際には木の骨組みに紙を貼り重ねた物で、板ほどの強さはありません。

立てて持つと、全体の重みが下の縁の一点に集まります。畳の上を引きずれば、そこから角が潰れます。

横にして、絵のある面を上に向け、二人で両端を持って運んでください。一人で運べる大きさに見えても、幅があるほど途中でしなります。

中身は、木の骨に紙を重ねた物

屏風や衝立を仕立てる仕事を表具といいます。京都の京表具は国の伝統的工芸品に指定されていて、その技術・技法にはこう定められています。

  • 骨格は、木針を用いて框と組子を組み立て、角板を入れること
  • 下張りは、「骨格縛り」、「胴張り」、「蓑張り」及び「蓑縛り」によること
  • 「泛張り」は、二回行うこと。二回目は喰い裂きした和紙を用い、一回目よりずらして張ること

読み方が分からなくても構いません。分かるのは、絵の描いてある紙の下に、名前の付いた層が何枚も重なっているということです。

だから水に弱い。雨の当たる場所に一晩置くだけで、下の層まで湿って波打ちます。ぬれた布で拭くのも同じことになります。

蝶番のところだけ、技法の名前が3つ並ぶ

同じ技術・技法の中に、こういう一項があります。

「屏風の蝶番は、『羽根付け』、『蝶番組』及び『くるみ懸け』によること。」

骨組みにも下張りにもそれぞれ定めがある中で、つなぎ目にだけ3つの名前が並びます。屏風が右にも左にも折れるのは、ここの作りによります。

開くときは端から順に、一面ずつ起こしてください。真ん中を持って一気に開くと、つなぎ目に力が集まります。畳むときも、もとの折り目のとおりに戻します。逆向きに折らないでください。

紙も糊も木も、種類が決まっている

同じ指定には、使う材料も書かれています。紙は手漉き和紙、布は天然素材の織物、糊は正麸糊・布海苔・膠。木地はスギ、キリ、ヒノキ、サクラ、クワ、ホオ、イチイとされています。

糊に膠が入ることが、扱いに直結します。膠は動物から取る糊で、湿気と熱でゆるみ、虫にも食われます。屏風の縁が浮いていたり、裏に小さな穴が並んでいたりするのは、たいていこれです。

持ったときに軽く、縁を押すとたわむ物は、この作りに近いと考えられます。逆に、印刷した紙を厚紙に貼った物は角が硬く、折り目に布が使われていません。

ただし、表具は全国で作られています。ここに書いた作りに当てはまっても、京表具とは限りません。分かるのは「どういう作り方の物か」までです。

衝立は、屏風と作りが違う

衝立は折れません。同じ条文でも、外枠の作りが分けて定められていて、屏風は「椽打ち」を折り合いかアリ留めで行い、衝立と額装は外枠を「はめ込み」にするとあります。

片付けで問題になるのは台のほうです。衝立は本体と台が別に作られている物があり、外すと片方だけ残ります。台に本体の重みがかかる作りなので、別の衝立の台とは高さも溝の幅も合いません。

本体と台は並べて置き、離さないでください。

家に据え付いている物とは、扱いが分かれる

欄間や襖、障子は家の造作です。屏風と衝立は、置いてあるだけの調度になります。同じ和室の木と紙でも、この線で扱いが変わります。

家を解体する予定があるなら、造作の側は工事の話に含まれます。外す人を誰が決めるかも別です。そちらは欄間と建具は解体の前に外すに書きました。

屏風と衝立は工事とは関係なく動かせるので、先に運び出して構いません。床の間に掛け軸が残っているなら、そちらは扱いがまた違います。掛け軸を片付ける前にを参照してください。

撮るのは5か所

  1. 広げた全体。正面から、面の数が分かるように
  2. 畳んだ状態を横から。厚みが分かるように
  3. つなぎ目。折り目に沿って近くから
  4. 下の縁と角。傷みが出やすい場所
  5. 裏面。書き付けや下貼りの紙が見えることがある

裏に古い紙が貼られていることがあります。読めなくても、読めないまま撮ってください。この進め方は名前の分からない古道具でも相談できる?と同じです。

手放すと決めた後の行き先

木と紙と布でできているので、ごみとして出すなら燃やせる区分に入ることが多い物です。ただ、広げると畳一枚を超えるものがあり、その大きさだと粗大ごみになります。区分の呼び名も大きさの線引きも市町村ごとに違うので、自分の地区の案内を確かめてください。

買取も頼むなら、その業者に古物商の許可があるかを確かめます。家から出た物を運ぶ許可とは別の許可です。確かめ方は片付けを頼む業者に許可があるかにあります。

遺品整理の途中なら、処分と買取のどちらを先にするかで手順が変わります。遺品整理と買取はどちらが先?を先に読んでおくと、二度手間になりません。

横にして運ぶ、折り目のとおりに畳む、台を離さない。この3つで判断は後からできます。実家の片付け中なら捨ててはいけない物として一度保留してください。

古い物の見方は古い物を手放す前のガイド、確認対象の例は相談対象になりやすいものにまとめています。

京表具の指定年月日(平成9年5月14日)と技術・技法、原材料は、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会「京表具」で2026年8月2日に確認しました。京表具が現在も国の指定品目であることは、近畿経済産業局の一覧で同日に確認しています。家にある屏風が京表具であるとは限りません。ごみの区分は市町村ごとに異なります。